熱可塑性ポリカーボネート及び無機ナノ粒子を含む透明ポリマー材料の製造方法
专利摘要:
本発明は、次の工程:(i)アルカリ土類金属カーボネートのナノ粒子、アルカリ土類金属サルフェートのナノ粒子、金属酸化物のナノ粒子、メタロイドの酸化物のナノ粒子及びシロキサンのナノ粒子から選択される無機ナノ粒子と、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択される溶融状態の少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む組成物Aとを混合してマスターバッチを得る工程(この工程(i)の混合物は、前記無機ナノ粒子を少なくとも25重量%であって最大75重量%含む);並びに(ii)工程(i)で得られたマスターバッチと、溶融状態の熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)を含む組成物Bとを混合して、前記無機ナノ粒子を最大10重量%、好ましくは前記無機ナノ粒子を最大5重量%含む透明ポリマー材料を得る工程:を含む、透明ポリマー材料の製造方法に関する。 公开号:JP2011506667A 申请号:JP2010537493 申请日:2008-12-09 公开日:2011-03-03 发明作者:アレクサンドラ・ルース;ヴィルジニー・ブーシェ;カリン・カヴァリエ;セルジュ・ブールビゴー;ソフィ・ドゥケーヌ;ディディエ・シー;マルク・ラクロワ;ロール・メイニー 申请人:エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク);ソルヴェイ(ソシエテ アノニム);ルノー・エス・ア・エス; IPC主号:C08J3-22
专利说明:
[0001] 本発明は、熱可塑性ポリカーボネート及びナノ粒子を含む透明ポリマー材料の製造方法並びに該方法によって得られる透明ポリマー材料に関する。] [0002] 本発明は、典型的には光学の分野、特に照準器レンズタイプ、ヘルメットバイザータイプ、又は眼科用レンズタイプの光学物品、及び自動車ガラスタイプの光学物品の分野に適用されるが、これらに限定されるわけではない。] [0003] より特定的には、用語「眼科用レンズ」とは、目を保護する機能及び/又は視力を矯正する機能を有し、めがねに取り付けるのに特に適したレンズを意味し、斯かるレンズは、無限焦点レンズ、単焦点レンズ、二焦点レンズ、三焦点レンズ及び多重焦点レンズから選択される。] [0004] より特定的には、用語「自動車ガラス」とは、例えばリアライト(尾灯)、サイドパネル(側板)、サイドウインドウ(横窓)、ガラスルーフ(サンルーフ)、ヘッドライト(前照灯)又はサイドライト(側灯、車幅灯)ガラス等の外側の透明な車体部品を意味するだけではなく、計器盤、文字盤又はスクリーンガラス等のインテリア用の透明部品をも意味する。] 背景技術 [0005] ポリカーボネートは、特に有利な光学的特性、特に優れた透明性、優れた耐衝撃性、高い屈折率及び非常に軽い重量という利点を示すが、その根本的な欠点は、剛性がそれほど高くなく、引掻き及び摩擦に対して敏感であるということである。] [0006] ポリマーの機械的特性、特にその剛性並びにその摩擦及び引掻き耐性を改善するために、ポリマーに無機ナノ粒子を加えることが知られている。典型的には、この無機ナノ粒子は、溶融状態のポリマーに直接加えられる。しかしながら、熱可塑性ポリカーボネートに適用されるその方法は、熱可塑性ポリカーボネートマトリックス中のナノ粒子の良好な分散を保証せず、マトリックスの分解を引き起こすことがよくある。] [0007] 従って、それによって得られた材料は、ナノ粒子を含まない熱可塑性ポリカーボネート材料と比較して透明性が低く且つ耐衝撃性が低い。] 発明が解決しようとする課題 [0008] 本発明の目的は、熱可塑性ポリカーボネートとナノ粒子との両方を含み、上記の欠点がない透明ポリマー材料を製造する方法を提供することにある。] 課題を解決するための手段 [0009] 従って、本発明は、次の工程: (i)アルカリ土類金属カーボネート(炭酸塩)のナノ粒子、アルカリ土類金属サルフェート(硫酸塩)のナノ粒子、金属酸化物のナノ粒子、メタロイドの酸化物のナノ粒子及びシロキサンのナノ粒子から選択される無機ナノ粒子と、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択される溶融状態の少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む組成物Aとを混合してマスターバッチを得る工程(この工程(i)の混合物は、前記無機ナノ粒子を少なくとも25重量%であって最大75重量%含む);並びに (ii)工程(i)で得られたマスターバッチと、溶融状態の熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)を含む組成物Bとを混合して、前記無機ナノ粒子を最大10重量%、好ましくは前記無機ナノ粒子を最大5重量%含む透明ポリマー材料を得る工程: を含む、透明ポリマー材料の製造方法を提供する。] 発明の効果 [0010] 本発明の製造方法は、ナノ粒子を加えた時のPCmマトリックスの分解を有意に抑制することができる。本発明の製造方法はまた、PCmマトリックス中に加えられた際のナノ粒子の凝集現象を抑制することができ、該マトリックス中の該ナノ粒子の均一な分散を保証することができる。] [0011] 特に、光透過性及び耐衝撃性が熱可塑性ポリカーボネート材料自体と比較して可能な限り維持され、無機ナノ粒子をポリカーボネートマトリックス(PCm)中に加えた際の透明ポリマー材料の機械的特性が改善される。] [0012] 従って、本発明の製造方法によって得られる材料は、光学分野において通常用いられている熱可塑性ポリカーボネート材料と比較して改善された剛性並びに改善された摩擦及び引掻き耐性を有する。] [0013] 用語「透明ポリマー材料」とは、この材料を通して見た時に像のコントラストの有意の損失が観察されない材料を意味する。言い換えれば、像とその観察者との間に該透明ポリマー材料を介在させた時に像の品質が有意に低下しないものである。] [0014] 用語「溶融状態」とは、工程(i)の熱可塑性ポリマー又は工程(ii)の熱可塑性ポリカーボネートマトリックスが柔軟な状態(展延性状態)にあることを意味する。この柔軟な状態は、当業者によく知られているものであり、慣用的には、当該ポリマーをそのガラス転移温度又は軟化温度より高い温度に加熱した時に得ることができる。] [0015] 本明細書において、「ある値x〜ある値yの範囲」と言った時、値x及びyはこの範囲に含まれる。] [0016] 工程(i)で用いられる熱可塑性ポリカーボネート(PC)と工程(ii)で用いられる熱可塑性ポリカーボネート(PCm)とは、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、工程(i)及び工程(ii)で用いられるポリカーボネートの出所は同一である。] [0017] 本発明において、工程(i)の混合物は、好ましくは少なくとも40重量%であって最大60重量%の無機ナノ粒子を含むことができ、より一層好ましくは50重量%の無機ナノ粒子を含むことができる。] [0018] 典型的には、本発明の無機ナノ粒子の寸法の少なくとも1つは、ナノメートル(10-9メートル)規模である。] [0019] 用語「寸法」とは、所定ナノ粒子母集団の数平均寸法を意味し、この寸法は当業者によく知られた方法を用いて慣用的に決定される。] [0020] ナノ粒子のサイズを測定するための前記方法に従えば、本発明に従うナノ粒子の「寸法」は、ストークス直径(用いる方法が遠心分離による沈降及びX線分析のものである場合)又は拡散直径(用いる方法がレーザーグラニュロメトリーによる光の拡散のものである場合)又は回折直径(用いる方法がレーザーグラニュロメトリーによる光の回折のものである場合)又はナノ粒子の最小寸法と規定されるナノ粒子の幅(l)(用いる方法が走査電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)のような電子顕微鏡のものである場合)のいずれかを参照する。後者の方法が好ましい。] [0021] ナノ粒子の寸法を測定するためのこれら4つの方法は、かなり異なる結果をもたらすことがある。この理由で、得られた結果は、上記の4つの方法の少なくとも1つについて、好ましくはこれらの方法の少なくとも2つ、好ましくはこれらの方法の少なくとも3つ、より一層好ましくはこれら4つの方法について、本発明のナノ粒子のナノメートルサイズの寸法条件を満たしていなければならない。] [0022] 本発明の無機ナノ粒子の寸法は、特に最大400nm、好ましくは最大300nm、より一層好ましくは最大100nmである。] [0023] 特に好ましくは、この寸法は少なくとも0.1nmであって最大80nm、より一層好ましくは少なくとも10nmであって最大70nm、例えば40nmである。] [0024] 工程(i)の混合物の無機ナノ粒子はまた、それらの形状ファクターによっても規定することができ、この形状ファクターとは、一般的に「長さ」と称される粒子の特定「最大寸法」(L)と、一般的に「幅」又は「直径」と称される粒子の特定「最小寸法」文字(以下において「l」と示す)との間の比に相当するものである。] [0025] 該形状ファクターは、顕微鏡写真、特に電子顕微鏡(SEM又はTEM)によるものを分析することによって慣用的に決定される。ナノ粒子の最大寸法L及び最小寸法lは、SEM又はTEMによって直接測定され、従ってL対lの比を計算するために用いることができる。] [0026] 本発明に従うナノ粒子の母集団についての平均形状ファクターは、個々のナノ粒子についての形状ファクターの数平均と規定され、言い換えれば各ナノ粒子の長さL対幅lの比の数平均と規定される。] [0027] 本発明の無機ナノ粒子の形状ファクターは、1.0に等しい。] [0028] 有利には、工程(i)の混合物中に加える前に、本発明の無機ナノ粒子を「表面」処理することによって該混合物中におけるその分散性を改善し且つその凝集を抑制することができる。] [0029] 例として、この表面処理は、無水マレイン酸、メタクリルシラン又はアミノシランをグラフトさせたポリブタジエン、ポリアクリレートタイプのポリマーの層でナノ粒子を予備コーティングすることから成ることができる。] [0030] 前記ナノ粒子の別のタイプの表面処理、特に該ナノ粒子の官能化又はグラフトを構想することもでき、この表面処理は当業者によく知られたものである。] [0031] 本発明に従う無機ナノ粒子の中で、アルカリ土類金属カーボネートのナノ粒子は炭酸カルシウムのナノ粒子であることができ、アルカリ土類金属サルフェートのナノ粒子は硫酸バリウムのナノ粒子であることができ、金属酸化物のナノ粒子はアルミナのナノ粒子、酸化亜鉛のナノ粒子又は二酸化チタンのナノ粒子であることができ、メタロイドの酸化物のナノ粒子は二酸化ケイ素のナノ粒子であることができ、そしてシロキサンのナノ粒子はシルセスキオキサンのナノ粒子、より特定的にはトリシラノールフェニルポリヘドラールシルセスキオキサン(TP−POSS)のナノ粒子であることができる。このリストの中からの好ましい無機ナノ粒子は、炭酸カルシウムのナノ粒子である。] [0032] 本発明のポリマー材料の機械的特性及び光学的特性をさらに改善するために、工程(ii)の混合物に少なくとも1種の酸化防止剤をさらに含ませることができる。] [0033] 第1の態様に従えば、工程(ii)に先立って、溶融状態の熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)に酸化防止剤(群)を混合することによって組成物Bを調製する。] [0034] 第2の態様に従えば、工程(i)に先立って、溶融状態の熱可塑性ポリマー(PC、PS又はPMMA)、好ましくはポリカーボネート(PC)に酸化防止剤(群)を混合することによって組成物Aを調製する。] [0035] 第3の態様に従えば、工程(ii)の間に、言い換えれば工程(ii)の混合物に、酸化防止剤(群)を直接添加してもよい。] [0036] 第4の態様に従えば、工程(i)の間に、言い換えれば工程(i)の混合物に、酸化防止剤(群)を直接添加してもよい。] [0037] これら4つの態様において用いられる酸化防止剤(群)は、工程(ii)の熱可塑性ポリカーボネートマトリックス中に少なくとも部分的に可溶のものであり、第2又は第4の態様において用いられる酸化防止剤(群)は工程(i)の熱可塑性ポリマー中に少なくとも部分的に可溶のものである。] [0038] 好ましくは、そして特に組成物Aの熱可塑性ポリマーがポリカーボネートである場合には、前記マスターバッチ及び組成物Bに少なくとも1種の酸化防止剤を含ませる。マスターバッチ中に存在させる酸化防止剤(群)と組成物B中に存在させる酸化防止剤(群)とは、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、マスターバッチ中に存在させる酸化防止剤(群)と組成物B中に存在させる酸化防止剤とは同一のものである。] [0039] 特に好ましくは、追加工程の際に組成物A及びBに前記添加剤(群)を添加する。] [0040] 有利には、組成物Aには、最大15重量%の酸化防止剤を含ませることができ、より特定的には少なくとも0.5重量%の酸化防止剤を含ませることができる。] [0041] 好ましくは、組成物Aには、2〜12重量%の範囲の酸化防止剤を含ませることができ、より一層好ましくは最大10重量%の酸化防止剤を含ませることができ、さらにより一層好ましくは5重量%の酸化防止剤を含ませることができる。] [0042] 有利には、組成物Bには、最大5重量%の酸化防止剤を含ませることができ、好ましくは少なくとも0.5重量%、より特定的には少なくとも0.1重量%の酸化防止剤を含ませることができる。] [0043] 好ましくは、組成物Bには、0.5〜2重量%の範囲の酸化防止剤を含ませることができる。] [0044] こうして、本発明の範囲内で実施される実施態様に従えば、工程(ii)の混合物は、最大5重量%の酸化防止剤、好ましくは1〜2重量%の範囲の酸化防止剤を含むことができる。工程(ii)の混合物中の酸化防止剤がこの量を超えると、得られる透明ポリマー材料は機械的特性が劣ったものになることがある。] [0045] この理由で、酸化防止剤を添加するための態様に拘らず、本発明の透明ポリマー材料は、最適な剛性と殆ど変色がないこととの間の良好な折衷点を保証するために、最大5重量%の酸化防止剤、好ましくは1〜2重量%の範囲の酸化防止剤を含むことができる。] [0046] 本発明の酸化防止剤(群)は、当業者によく知られた任意のタイプの酸化防止剤であることができる。好ましくは、用いられる酸化防止剤は、ホスファイトを含む。酸化防止剤の例としては、Ultranox(登録商標)626、Irgafos(登録商標)168及びIrganox(登録商標)HP2921を挙げることができる。] [0047] 特定の実施態様に従えば、工程(i)の混合物がポリスチレン(PS)及び/又はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む場合には、工程(ii)の混合物に相溶化剤をさらに含ませることができる。] [0048] 用語「相溶化剤」とは、工程(i)の熱可塑性ポリマー及びPCmマトリックスの両方に対して混和性及び/又は反応性タイプの所定の親和性を有するポリマーエレメント(要素)又は無機エレメントを意味する。相溶化剤は特に本発明の透明ポリマー材料の剛性を改善することができる。] [0049] ポリマーエレメントタイプの相溶化剤は、ブロック、グラフト又はランダムコポリマーであって、その構成成分の内の1つが工程(i)のポリマーに対する混和性タイプの特定親和性を有し、別の構成成分がPCマトリックスに対する混和性及び/又は反応性タイプの親和性を有するものであることができる。特に好ましくは、相溶化用コポリマーの構成要素は、相溶化させるべきポリマー群のモノマー単位又はそれらの内の少なくとも1種と同じモノマー単位によって構成されたものである。例として、ポリマーエレメントタイプの相溶化剤は、ポリスチレンのコポリマー、特にポリスチレンと無水マレイン酸とのコポリマーである。] [0050] 用いることができる好ましい無機エレメントタイプの相溶化剤は、天然のモンモリロナイトをヒドロキシルタイプの官能基で表面変性したものである。] [0051] 本発明の透明ポリマー材料の最適機械的特性を保証するためには、工程(ii)の混合物に最大5重量%の相溶化剤、好ましくは0.1〜2重量%の範囲の相溶化剤、より一層好ましくは0.3〜1重量%の範囲の相溶化剤を含ませるのが好ましい。] [0052] 透明ポリマー材料を製造するための方法の様々な工程のために用いられる混合方法は、押出法であることができる。しかしながら、この方法は何ら限定的なものではなく、当業者によく知られた任意の他の方法を用いることもできる。] [0053] 本発明はまた、前に規定した製造方法によって得られ、顕著な機械的及び光学的特性を有する透明ポリマー材料を提供するものでもある。] [0054] このポリマー材料の第1の技術的特徴は、熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)のみから得られた参照用材料と比較して、光透過度の損失(特に650nmにおいて)が最大でも25%、好ましくは最大でも10%、より一層好ましくは1%〜3%の範囲であるということである。] [0055] この材料の第2の技術的特徴は、熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)のみから得られた参照用材料と比較して、曲げ弾性率の増大が少なくとも10%、好ましくは20%〜60%の範囲であるということである。] [0056] この材料の第3の技術的特徴は、熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)のみから得られた参照用材料と比較して、無機ナノ粒子を加えたことによって誘発される分子量の損失が最大でも30%、好ましくは最大でも20%、より一層好ましくは最大でも10%であるということである。] [0057] 本発明はまた、照準器レンズタイプ、ヘルメットバイザータイプ、又は眼科用レンズタイプの光学物品の製造のため、及び自動車ガラスタイプの光学物品の製造のための前記透明ポリマー材料の使用を提供するものでもある。] [0058] 例として、前記光学物品の厚さは、最大でも15mm、好ましくは0.1mm〜5mmの範囲、より一層好ましくは0.5mm〜4mmの範囲であることができる。] [0059] 典型的には、前記光学物品は、前記透明ポリマー材料から、当業者によく知られた任意の造形方法、例えば熱成形、押出、カレンダー加工、延伸、射出、射出−圧縮又は吹込成形等を用いて、製造することができる;この光学物品は、前記ポリマー材料のすべての機械的及び光学的特性を保持する。] [0060] 本発明の他の特徴及び利点は、以下に単に非限定的例示として与えた実施例から明らかになる。] [0061] 用いた様々な成分の起源は、次の通りである: ・工程(i)の混合物中又は工程(ii)の混合物中に用いたポリカーボネート(PC又はPCm)は、BayerAG社より販売されている熱可塑性ポリカーボネートMakrolon(登録商標)Al2647だった。 ・ポリスチレンは、NOVA Innovene International SA社より販売されているEmpera(登録商標)251Nだった。 ・ポリメチルメタクリレートは、Sigma-Aldrich Co.社より200336の参照番号で販売されているものだった。 ・ナノ粒子は、Solvay France社より商品名SOCAL(登録商標)31として販売されている約60nmの寸法を有する沈降炭酸カルシウム粒子だった。 ・方法の様々な工程で用いた酸化防止剤は、Crompton N.V.社より販売されているUltranox(登録商標)626だった。 ・相溶化剤AgCp1は、Sigma-Aldrich Co.社より426946の参照番号で販売されているポリスチレンと無水マレイン酸との無水マレイン酸を7%含むコポリマーだった。 ・相溶化剤AgCm1は、Southern Clay Products, Inc.社より販売されているCloisite(登録商標)20Aだった。 ・相溶化剤AgCm2は、Southern Clay Products, Inc.社より販売されているCloisite(登録商標)30Bだった。] [0062] より詳細には、SOCAL(登録商標)31粒子の寸法は、TEMにより、40000倍の拡大率で、約20個の像に対して、これらのナノ粒子を最初にエタノール中に分散させ、次いでそれらを銅スクリーン(格子)上に置き、最後にそれらを透明非晶質ポリマーフィルムで覆って、測定した。これは、これらのナノ粒子について60nmの、幅l又は数平均寸法、並びに長さLを与えた。かくして、TEM分析及び直接測定に従えば、これらのナノ粒子についての形状ファクターL/lは約1.0だった。] [0063] ポリマー材料を製造する前に、以下の実施例で用いた無機ナノ粒子並びにポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリスチレンを120℃において少なくとも12時間オーブン乾燥させた。] [0064] 該ポリマー材料を棒状に押出し、冷却し、次いで粒状物(粒体)にすることによって、様々なサンプルを製造した。] [0065] 下記の製造方法P0〜P4に詳述した混合工程を、DSMExplore社より販売されている二軸スクリュー式再循環タイプマイクロ押出機DSM micro 15を用いて40回転/分(rpm)の剪断速度で実施した。] [0066] 例1:先行技術の製造法P0:PCマトリックス中へのナノ粒子の直接添加:] [0067] 先行技術の製造法P0に従い、0.45gの無機ナノ粒子及び8.55gのポリカーボネートを260℃において14分間混合した。] [0068] こうして、無機ナノ粒子を5重量%含むポリマー材料PMOが得られた。] [0069] 例2:本発明に従う製造方法P1:] [0070] 本発明に従う第1の製造方法P1に従い、4.5gの無機ナノ粒子と4.5gのポリスチレン(PS)又はポリカーボネート(PC)とを260℃において約5分間混合して、それぞれのマスターバッチを得た(工程(i))。次いで、0.9gの各マスターバッチと8.1gのポリカーボネートマトリックスとを260℃において15分間混合した(工程(ii))。こうして得られたポリマー材料を、混合物(i)のポリマーがPSである場合にはポリマー材料PM1PSとし、混合物(i)のポリマーがPCである場合にはポリマー材料PM1PCとする。] [0071] 得られたポリマー材料(PM1PS及びPM1PC)は、5重量%の無機ナノ粒子を含んでいた。] [0072] 例3:本発明に従う製造方法P2:] [0073] 本発明に従う第2の製造方法P2に従い、4.5gの無機ナノ粒子と4.5gのポリスチレン(PS)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)又は組成物A2(ポリカーボネート(PC)及び酸化防止剤を含むもの)とを260℃において5分間混合して各マスターバッチを得た(工程(i))。] [0074] この範疇において、組成物A2は、工程(i)に先立って、100重量部の組成物A2につき90重量部のポリカーボネートと10重量部の酸化防止剤とを260℃において5分間混合することによって、調製した。] [0075] 組成物B2は、100重量部の組成物B2につき98.9重量部のポリカーボネートと1.1重量部の酸化防止剤とを260℃において3分間混合することによって、調製した。次に、0.9gの各マスターバッチと8.1gの組成物B2とを260℃において10分間混合して、該混合物中にナノ粒子を適切に分散させた(工程(ii))。混合物(i)のポリマーがPSである場合に得られたポリマー材料をポリマー材料PM2PSとし、混合物(i)のポリマーがPMMAである場合に得られたポリマー材料をポリマー材料PM2PMMAとし、混合物(i)のポリマーがPCである場合に得られたポリマー材料をポリマー材料PM2PCとする。] [0076] 得られたポリマー材料(PM2PS、PM2PMMA、PM2PC)は、5重量%の無機ナノ粒子を含んでいた。] [0077] 例4:本発明に従う製造方法P3:] [0078] 本発明に従う第3の製造方法P3に従い、4.5gの無機ナノ粒子と4.5gのポリスチレン(PS)とを260℃において5分間混合してマスターバッチを得た(工程(i))。組成物B3を、100重量部の組成物B3につき97.8重量部のポリカーボネートと1.1重量部の酸化防止剤と1.1重量部のポリマータイプの相溶化剤AgCp1とを260℃において3分間混合することによって、調製した。次に、0.9gのマスターバッチと8.1gの組成物B3とを260℃において11分間混合して、該混合物中にナノ粒子を適切に分散させた(工程(ii))。] [0079] 5重量%の無機ナノ粒子を含むポリマー材料PM3AgCp1が得られた。] [0080] 例5:本発明に従う製造方法P4:] [0081] 本発明の第4の製造方法P4に従い、4.5gの無機ナノ粒子と4.5gのポリメチルメタクリレート(PMMA)とを260℃において5分間混合してマスターバッチを得た(工程(i))。] [0082] 組成物B4を、100重量部の組成物B4につき98.9重量部のポリカーボネートと1.1重量部の酸化防止剤とを260℃において3分間混合することによって、調製した。次に、0.9gの前記マスターバッチと0.03gのAgCm1又はAgCm2タイプ相溶化剤及び8.07gの組成物B4とを260℃において11分間混合して、該混合物中にナノ粒子を適切に分散させた(工程(ii))。ポリマータイプの相溶化剤がAgCm1である場合に得られたポリマー材料をポリマー材料PM4AgCm1とし、ポリマータイプの相溶化剤がAgCm2である場合に得られたポリマー材料をポリマー材料PM4AgCm2とする。] [0083] 得られた様々なポリマー材料(PM4AgCm1、PM4AgCm2)は、5重量%の無機ナノ粒子を含んでいた。] [0084] 得られた材料の物理化学的特徴:] [0085] 研究した様々な物理化学的特徴は、光透過度、曲げ弾性率及び分子量だった。] [0086] また、様々な方法P0〜P4において用いたポリカーボネートのみから、参照用材料(RM)と称される材料もサンプルの形で製造した。] [0087] 光透過度:] [0088] 光透過度は、ポリマー材料の透明性を特徴付ける。光透過度が高ければ高いほど、材料の透明性が良好である。] [0089] 光透過度の測定は、直径25mm、厚さ1.5mmの円盤の形のサンプルに対して、Varian社より販売されているCary 50分光光度計を用いて実施した。前記円盤は、ポリマー材料RM及びPM0〜PM4の粒体から、DSMExplore社より販売されているDSM5cm3マイクロインジェクターを用いた射出成形によって造形して得た。マイクロインジェクターシリンダーの温度は290℃に固定し、成形型の温度は60℃に固定し、粒体は射出前に2分間加熱した。] [0090] 分子量:] [0091] 分子量測定は、粉体の形のサンプルに対して実施した。この粉体は、極低温ミルを用いてポリマー材料RM及びPM0〜PM4の粒体をミル粉砕することによって得た。次いで50mgの量のこの粉体を10ミリリットルのテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させ、0.45μmで濾過した。] [0092] Waters SIS-HPLCポンプ、Waters 410示差屈折計、Waters社より販売されている5μmStyragel HR4及びHR3カラム並びにPolymer Laboratories社より販売されている5μmPI-gelカラムを備えたクロマトグラフを用いて、分子量を測定した。] [0093] 測定処理ソフトウェアは、Waters社より販売されているMillennium 32ソフトウェアだった。] [0094] 曲げ弾性率:] [0095] 曲げ弾性率は、ポリマー材料の剛性を特徴付ける。曲げ弾性率が高ければ高いほど、材料の剛性が良好である。] [0096] 曲げ弾性率の測定は、4mm×40mm×15mmの柵(barreaux)の形のサンプルに対して実施した。] [0097] 前記の柵状体は、ポリマー材料RM及びPM0〜PM4の粒体から、DARRAGONからの加熱されたプレートを有する水圧加熱圧着プレスを用いて成形することによって得られた。この柵状体の曲げ弾性率を、Metravib社から販売されているVA4000粘性分析器を用いて測定した。] [0098] サンプルを3℃/分の加熱速度で30℃の温度に加熱した。次に30℃の一定温度ステージにおいて10分間かけて弾性率を測定した。加えた振動数は1ヘルツ(Hz)であり、動態的変動(振動の振幅)は5μmだった。] [0099] 得られた結果を下記の表に示す。透過度値は650nmの波長について与えたものである。] [0100] * NM:脆弱すぎるので測定しなかった] [0101] かくして、方法P1〜P4は、方法P0に従う直接添加と比較して、ナノ粒子の存在によって引き起こされる光透過度の損失を有意に減らすことができるということがわかる。参照用材料RMと比較したポリマー材料PM1〜PM4の光透過度の損失は最大でも25%である。ポリマー材料PM0は、参照用材料RMと比較して40%超の透過度損失を示す。従って、ポリマー材料PM1〜PM4は非常に満足できる透過性を有する。] [0102] また、ポリマー材料PM1〜PM0についての曲げ弾性率の値は、参照用材料RMの曲げ弾性率の値と比較して、該弾性率の有意の増大を示す。本発明の製造方法を用いたナノ粒子の添加は、ポリマー材料の剛性を20%以上有意に増大させることができる。] [0103] さらに、ポリマー材料PM0については分子量値が参照用材料RMの分子量値と比較して50%以上低下しているのとは対照的に、ポリマー材料PM1〜PM4は参照用材料RMの分子量値である52500g/モルに向かう傾向がある分子量を有することがわかる。大きすぎる分子量の低下、即ち30%超の分子量の低下は、マトリックスの重大な分解を示す。] [0104] さらに、ポリマー材料PM2は、工程(ii)の混合物に非直接的に酸化防止剤を添加する(方法P2、P3及びP4)と、該材料の物理化学的特徴が有意に改善されるということを示している。] [0105] 最後に、相溶化剤を用いると曲げ弾性率を改善することもでき、特に該弾性率を約46%高めることができる(PM4AgCm2)。] 実施例 [0106] 従って、上記の表の結果は、製造方法P1〜P4によって機械的特性を改善しつつ最適透明性を有する透明ポリマー材料PM1〜PM4を製造することができるということを示す。]
权利要求:
請求項1 次の工程:(i)アルカリ土類金属カーボネートのナノ粒子、アルカリ土類金属サルフェートのナノ粒子、金属酸化物のナノ粒子、メタロイドの酸化物のナノ粒子及びシロキサンのナノ粒子から選択される無機ナノ粒子と、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択される溶融状態の少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む組成物Aとを混合してマスターバッチを得る工程:この工程(i)の混合物は、前記無機ナノ粒子を少なくとも25重量%であって最大75重量%含む;並びに(ii)工程(i)で得られたマスターバッチと、溶融状態の熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)を含む組成物Bとを混合して、前記無機ナノ粒子を最大10重量%、好ましくは前記無機ナノ粒子を最大5重量%含む透明ポリマー材料を得る工程を含む、透明ポリマー材料の製造方法。 請求項2 工程(i)の混合物が前記無機ナノ粒子を少なくとも40重量%であって最大60重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記無機ナノ粒子の寸法が最大300nm、好ましくは最大100nm、より一層好ましくは10nm〜70nmの範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。 請求項4 前記無機ナノ粒子が炭酸カルシウムのナノ粒子、硫酸バリウムのナノ粒子、アルミナのナノ粒子、トリシラノールフェニルポリヘドラールシルセスキオキサン(TP−POSS)のナノ粒子、酸化亜鉛のナノ粒子、二酸化ケイ素のナノ粒子及び/又は二酸化チタンのナノ粒子から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。 請求項5 工程(ii)の混合物が少なくとも1種の酸化防止剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 請求項6 工程(ii)の前に溶融状態の熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)に酸化防止剤を混合することによって前記組成物Bを調製する、請求項5に記載の方法。 請求項7 組成物Bが最大5重量%の酸化防止剤、好ましくは0.5〜2重量%の範囲の酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。 請求項8 工程(i)の前に溶融状態の熱可塑性ポリマーに酸化防止剤を混合することによって組成物Aを調製することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。 請求項9 前記組成物Aが最大15重量%の酸化防止剤、好ましくは2〜12重量%の範囲の酸化防止剤、より一層好ましくは10重量%の酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。 請求項10 工程(ii)の混合物及び/又は工程(i)の混合物に酸化防止剤を直接添加することを特徴とする、請求項5〜9のいずれかに記載の方法。 請求項11 工程(ii)の混合物が最大5重量%の酸化防止剤、好ましくは1〜2重量%の範囲の酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項5〜10のいずれかに記載の方法。 請求項12 前記酸化防止剤がホスファイトを含むことを特徴とする、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。 請求項13 工程(i)の混合物がポリスチレン(PS)及び/又はポリメチルメタクリレート(PMMA)を含み且つ前記工程(ii)の混合物がさらに相溶化剤を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。 請求項14 前記相溶化剤が天然のモンモリロナイトをヒドロキシルタイプの官能基で表面変性したものであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。 請求項15 前記相溶化剤がポリスチレンと無水マレイン酸とのコポリマーであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。 請求項16 工程(ii)の混合物が最大5重量%の相溶化剤、好ましくは0.1〜2重量%の範囲の相溶化剤、より一層好ましくは0.3〜1重量%の範囲の相溶化剤を含むことを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。 請求項17 請求項1〜16のいずれかに記載の方法によって得られる透明ポリマー材料。 請求項18 650nmにおける光透過性の損失が熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)のみから得られた参照用材料と比較して最大でも25%、好ましくは最大でも10%、より一層好ましくは1%〜3%の範囲であることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー材料。 請求項19 曲げ弾性率の増大が熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)のみから得られた参照用材料と比較して少なくとも10%、好ましくは20%〜60%の範囲であることを特徴とする、請求項17又は18に記載のポリマー材料。 請求項20 分子量の損失が熱可塑性ポリカーボネートマトリックス(PCm)のみから得られた参照用材料と比較して最大でも30%、好ましくは最大でも20%、より一層好ましくは最大でも10%であることを特徴とする、請求項17〜19のいずれかに記載のポリマー材料。 請求項21 照準器レンズタイプ、ヘルメットバイザータイプ、又は眼科用レンズタイプの光学物品の製造のための、請求項17〜20のいずれかに記載のポリマー材料の使用。 請求項22 自動車ガラスタイプの光学物品の製造のための、請求項17〜20のいずれかに記載のポリマー材料の使用。 請求項23 厚さが最大15mm、好ましくは0.1mm〜5mmの範囲、より一層好ましくは0.5mm〜4mmの範囲である光学物品を製造するための、請求項17〜20のいずれかに記載の透明ポリマー材料の使用。
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